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IPOとは?証券取引所の種類・スケジュールの解説


IPOとは

IPOは、非上場の企業が株式市場に初めて株式を公開することを指す言葉です。
公開される株式の価格は「公開価格」として言われ、これは企業の財務状態、成長性、市場の需要など、多岐に渡る要因を基に設定されるものです。
IPOを通じて、機動的な資金調達の実施が可能となり、それによって事業拡大やその他の戦略的投資を行うことができます。また、IPOは企業の知名度や社会的信用を高め、より優れた人材の確保などに寄与する重要なステップにもなります。
IPOと上場の違い
IPOと上場は密接に関連しているものの、若干の定義の違いがあります。IPOは未上場の企業が上場して株式を「新規に発行する」行為です。一方、上場とは、未上場だった会社の株式を「証券取引所で取引できるようにする」ことです。
つまり、IPOは株式を発行する行為ですが、上場とは株式を公の場で取引できるようにする行為のことです。一般的に、上場時には、新規の株式の発行を伴うので、IPO=上場というイメージが強いですが、上場時に株式を発行しないことも考えられるので、厳密には言葉の定義が異なります。
IPOと直接上場(ダイレクトリスティング)との違い
IPOと直接上場(ダイレクトリスティング)は、株式公開の方法において違いがあります。
IPOでは、企業は新たに株式を発行して資金を調達します。これに対して、直接上場は新株の発行を伴わない上場です。直接上場には、資金調達を目的とせず、証券会社を通じた株式の引受手数料などのコストを削減できるというメリットがあります。
なお、グロース市場の上場時には、最低500単位以上の公募が義務付けられており、直接上場はできません。また、一般的に上場時には公募も伴うことが多く、直接上場のケースは極めて少ないです。
国内にある証券取引所の種類

日本には複数の証券取引所が存在し、各取引所にはそれぞれ特色があります。これらの証券取引所は、地域ごとに異なる市場を提供しており、企業の上場を支援するとともに、投資家に多様な投資選択肢を提供しています。
証券取引所は4種類
日本国内の主要な証券取引所は、以下の4つです。
- 東京証券取引所(東証)
- 名古屋証券取引所(名証)
- 札幌証券取引所(札証)
- 福岡証券取引所(福証)
以下の表は、各証券取引所が提供する市場の概要を示しています。
| 証券取引所 | 市場の種類 |
| 東京証券取引所 | プライム市場、スタンダード市場、グロース市場、TOKYO PRO Market |
| 名古屋証券取引所 | プレミア市場、メイン市場、ネクスト市場 |
| 札幌証券取引所 | 本則市場、アンビシャス |
| 福岡証券取引所 | 本則市場、Q-Board、Fukuoka PRO Market |
これらの市場は、企業の規模や成熟度に応じて分けられており、特に東証のグロース市場や名証のネクスト市場などは、成長が見込まれるベンチャー企業や中小企業向けの市場として位置づけられています。
また、Q-Boardは対象を九州周辺に本店を有する企業又は九州周辺における事業実績・計画を有する企業とし、アンビシャスは対象を北海道に関連のある企業とするなど、地域性がある点も特徴です。
証券会社と証券取引所の違い
証券会社と証券取引所は、金融市場において異なる役割を果たしています。証券取引所の役割は、株式やその他の金融商品が公正かつ効率的に取引される場の提供です。ここでは、企業が公開株式を売り出し、投資家が株式を購入する取引が行われます。
一方で、証券会社は個々の投資家や企業が証券取引所での取引を行うための仲介役として機能します。証券会社の役割は、顧客の注文を受けて証券取引所に発注するとともに、投資アドバイスやポートフォリオ管理などの金融サービスの提供です。
簡単に言えば、証券取引所は取引の「場」を提供し、証券会社はその「場」を利用して顧客の取引をサポートする役割を担っています。証券取引所は市場の透明性を保ち、公正な取引が行われる環境を確保することが主な目的です。一方、証券会社は顧客に直接サービスを提供し、利益を生み出すことを目指します。
IPOのスケジュールとやるべきこと

IPO(以後、上場と同義で使用しています)へ向けたスケジュールは通常、上場を申請する会計期間の3年前からを見越して計画されます。主要なフェーズは以下の通りです。
- 直前々々期(N-3期)以前:IPO基盤の準備
- 直前々期(N-2期):外部監査開始と経営管理体制の強化
- 直前期(N-1期):上場会社としての体制運用と書類作成
- 申請期(N期):上場申請
直前々々期(N-3期)以前
IPOを目指す企業にとって、IPOに至るまでのN-3期以前は、重要な下準備の段階となります。ここでは、その後のプロセス全体に影響を及ぼす多くの決定がなされるため、慎重な計画と実行が不可欠です。IPO準備の基盤を確立するこの時期には、以下のような活動が含まれます。
- 資本政策の決定検討
IPOに際しては、資本政策を見直し、最適化することが欠かせません。株主構成の最適化や資金調達の計画など、IPO後の企業経営に大きな影響を与える要素が多数存在するためです。
- ショートレビューに関する準備
監査法人によるショートレビューは、企業の財務状態や内部統制の現状を評価し、IPOに向けて必要な改善点を特定するための重要な手段です。このフィードバックは、後の監査プロセスにおける指針となります。
- IPO準備チームの設置
IPO準備を中心となって進めるチームの立ち上げが必要です。このチームは、IPOプロセス全体を管理し、事業部門・管理部門との連携や、各関係者との窓口役を担当します。
- 主幹事証券会社の検討
IPO準備全般について、対象企業に指導・助言を行う主幹事証券会社の選定を開始します。N-2期中に主幹事証券会社を決定するのが一般的なスケジュールとなるため、早期に接触することを推奨します。
直前々期(N-2期)
N-2期になると、監査法人による本格的な外部監査も始まります。
- 利益管理および業務管理の体制構築
事業計画を策定し、予算と実績の管理(予実管理)のための体制を構築します。また、反社チェック、与信チェック、労務管理、情報セキュリティの強化をはじめとした業務管理のための体制構築も行います。
- 会計処理の整理
財務会計の基準に基づいて決算書を作成するための体制を構築します。
- 内部統制報告制度(J-SOX)への対応
上場後に内部統制報告書を作成するため、N-2期から内部統制の整備・運用を開始します。
- 関連当事者の整理
役員をはじめとする関連当事者と会社に取引がある場合、原則として、それらの取引を解消します。
直前期(N-1期)
N-1期は、過去数年間に渡る準備の集大成となるフェーズです。この時期、企業はIPOに向けての経営管理体制の最終調整を行い、外部からの評価に備えます。すでに構築された内部監査制度や会計制度はこの段階でその有効性が試され、投資家や規制機関からの信頼を獲得するためには、それらのシステムが問題なく稼働していることを明確に示す必要があります。
IPO準備のN-1期には、以下の活動が特に重要です。
- 上場に必要な申請書等の作成
「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」と「Ⅱの部(グロース市場上場の場合は新規上場申請者に係る各種説明資料」を作成します。
- 株主名簿管理人の決定
上場の形式的な要件として、株主名簿管理人の選定が必要であるため、N-1期に選定します。
- 証券印刷会社との契約
有価証券報告書、株主総会の招集通知など、多様な資料の作成を支援する証券印刷会社と契約します。
- 四半期開示トライアルの実施
N-1期から45日以内に適時開示ができるよう、精度の高い決算、監査法人とのコミュニケーション、決算短信等の作成ができる体制を構築します。
申請期(N期)
N期に突入すると、企業は上場の大詰めとして、事前に準備してきた全てのプロセスを確実に遂行させる必要があります。ここでは、主に次の活動が行われます。
- 引受審査および上場審査
主幹事証券会社の引受審査部門による引受審査、証券取引所の上場審査部による上場審査を受けます。
- ファイナンス業務
公募・売り出し価格の検討、有価証券届出書や目論見書の作成・提出などを行います。
N期は、IPOに向けた集中的な作業と、投資家や市場へのコミュニケーション強化が求められる期間です。この期間の成果が、投資家からの信頼獲得という形で将来的な企業価値に大きく影響を与えることになるでしょう。
まとめ

IPOとは、非上場の企業が新たに公開されたの株式市場で株式を発行することです。「IPO」と「上場」には違いがあり、IPOは株式を新規に発行する行為を指し、上場は株式を証券取引所で取引できるようにすることを指します。
IPOに際しては、証券取引所を選択し、数年前からスケジュールを立て、様々な費用を管理しなければなりません。
各ステップにおける準備は、企業の将来に大きな影響を与えます。IPOはただ単に資金を調達する手段ではなく、企業の透明性を高め、市場での信頼性を確立し、さらなる成長と発展を促進する機会となるものです。
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