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内部監査とは?進め方やチェックリスト項目、被監査部門の準備事項を解説

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公開日:2025.05.30
最終更新日:2025.09.18
内部監査
内部監査とは?進め方やチェックリスト項目、被監査部門の準備事項を解説

企業の健全な経営を維持し、業務の適正性を確保するために実施する「内部監査」。これは組織の内部にいる担当者が主体となり、業務の適正性や法令順守の状況をチェックする業務です。しかし、内部監査の担当者や被監査部門の方の中には「何を準備すればいいのか」「どのように進めればよいのか」と悩む人も多いのではないでしょうか。

本記事では、内部監査の目的から外部監査・監査役監査との違い、具体的な進め方、被監査部門が準備すべきことまでを分かりやすく解説します。内部監査をスムーズに進めるためのポイントを押さえ、適切に対応できるようにしましょう。

内部監査とは

内部監査とは、企業内部の独立した組織である内部監査部門が実施する監査のことです。一般社団法人日本内部監査協会の「内部監査基準」では、内部監査について以下のように定義しています。

「内部監査とは、組織体の経営目標の効果的な達成に役立つことを目的として、合法性と合理性の観点から公正かつ独立の立場で、ガバナンス・プロセス、リスク・マネジメントおよびコントロールに関連する経営諸活動の遂行状況を、内部監査人としての規律遵守の態度をもって評価し、これに基づいて客観的意見を述べ、助言・勧告を行うアシュアランス業務、および特定の経営諸活動の支援を行うアドバイザリー業務である。」

引用:一般社団法人日本内部監査協会「内部監査基準」

監査の対象は、財務情報の適正性や業務プロセスの有効性など多岐にわたります。財務記録の確認、業務フロー分析、従業員ヒアリング等で企業活動を評価し、問題点の特定と改善を行うため、内部監査は「会社の健康診断」ともいわれます。

内部監査の目的

内部監査の目的は、一般社団法人日本内部監査協会の「内部監査基準」に記載のある通り、組織体の経営目標の効果的な達成に役立つことです。法令、社内規程、業務マニュアルに沿って業務が遂行されているかどうか、リスク管理が適切かどうかなどを評価します。

内部監査は問題点を指摘するものと思われがちですが、それだけが目的ではありません。改善策を提案し、その進捗をフォローアップする他、監査の過程で見つかった良い点を報告し、より適切な組織づくりを促すことも内部監査の重要な役割です。

内部監査と外部監査、監査役監査の違い

企業における監査には「内部監査」「外部監査」「監査役監査」の3種類があり、これらはまとめて「三様監査」と呼ばれています。それぞれの監査は目的や役割が異なりますが、互いに補完し合う関係にあるため、課題の共有や適切な連携が求められます。

三様監査の主な違いは、監査を実施する主体です。内部監査は企業内の監査部門、外部監査は公認会計士や監査法人、監査役監査は監査役が主体となって実施します。

以下の表で、それぞれの違いを整理しました。

内部監査外部監査監査役監査
監査主体企業内部の監査部門公認会計士・監査法人株主総会で選任された企業の監査役
主な目的企業の経営活動の健全化株主および債権者保護株主および債権者保護
監査の観点経営改善やリスク管理財務情報の適正性取締役の業務の適正性
報告対象組織の経営層株主、投資家、その他の利害関係者株主、投資家、その他の利害関係者

内部監査が義務付けられている企業

内部監査は法律で直接義務付けられているものではありません。しかし、会社法や金融商品取引法にもとづき、一部の企業には内部統制の整備が求められています。

内部監査は、この内部統制が適切に機能しているかを評価・検証する活動です。つまり、内部統制という「仕組み」がきちんと働いているかをチェックすることが内部監査の役割と言えます。そのため、内部統制の整備が求められる以下のような企業では内部監査の実施も必要です。

  • 上場企業
  • 会社法で定める大企業(資本金5億円以上、または負債総額200億円以上の株式会社)
  • 取締役会を設置している企業
  • 上場を予定している企業(IPO準備企業)

参照:会社法第2条6号
参照:会社法第362条
参照:金融商品取引法第24条

一方で、法律上の義務はないものの、中小企業でもリスク管理の観点から自主的に内部監査を導入するケースが増えています。不正や業務の不備は、企業の信頼を損なう要因となるため、内部監査の仕組みを整えることは、中小企業にとっても重要といえるでしょう。

内部監査の進め方

では具体的に、内部監査はどのように進めていくのでしょうか。内部監査の進め方は、企業ごとのルールによっても異なりますが、一般的には以下5つのステップで実施されます。

  1. 監査計画の策定
  2. チェックリストの作成
  3. 内部監査の実施(予備調査・通知、本調査)
  4. 監査内容の報告
  5. 改善提案・フォローアップ

それぞれのステップについて、以下で詳しく解説します。

監査計画の策定

内部監査を効果的に実施するためには、まず綿密な計画を立てることが大切です。監査の目的や方針を明確にし、監査実施者を決定したうえで、具体的な実施計画を策定しましょう。計画段階で検討すべきポイントとして、主に以下のような項目が挙げられます。

  • 監査の目的・方針
  • 監査実施者の選定
  • 監査スケジュール
  • 監査対象部門
  • 監査の具体的な内容

監査内容を決める際には、社内に潜在するリスクや内部統制上の懸念点を把握することが重要です。そのために、過去の内部監査結果を振り返り、経営会議で指摘されたリスク指標、法令や社内規程・マニュアルの改訂内容などを収集・分析しましょう。こうした情報をもとに、監査対象部門に与える影響や監査の優先度を見極め、重点的に確認すべき項目を絞り込みます。

また、監査を担当する監査実施者の選定も計画段階で決めておくべき重要事項の1つです。監査の公正性を確保するため、監査対象となる部門から独立した立場の担当者を選び、客観的な視点で評価できる体制を整えましょう。

チェックリストの作成

監査の計画が固まったら、次は監査内容にもとづいたチェックリストを作成しましょう。チェックリストとは、監査の際に確認すべき事項をリスト形式でまとめたものです。内部監査を行う際、必ずしもチェックリストを使わなければならない、という決まりはありません。しかし、あらかじめ監査のポイントを整理しておくことで、監査の抜け漏れを防ぎ、スムーズに監査業務を進められます。そのため、多くの企業ではチェックリストを活用しています。

チェック項目の内容は、監査の目的や業務の特性によって異なりますが、業務監査の場合であれば、以下のような点を確認するとよいでしょう。

  • 組織の体制や役割分担が明確になっており、適切に運用できているか
  • 業務の流れが標準化され、実務に即したマニュアルが整備されているか
  • 業務の記録や関連書類が、適切なルールのもとで管理・保存されているか
  • 業務に潜むリスクを事前に洗い出し、その影響度や対応策が検討されているか

なお、チェックリストは一度作成すれば終わりではなく、常に最新の情報を反映させなければなりません。たとえ毎年同じリストを使っていたとしても、法令改正や社内規則の変更があれば、その都度アップデートが必要です。また、被監査部門にとっても事前にセルフチェックが可能になるため、より改善につながる監査が実施できます。

内部監査の実施

監査計画とチェックリストが準備できたら、いよいよ内部監査を実施します。内部監査は「予備調査」と「本調査」の2段階に分けて行われるのが一般的です。

予備調査と通知

予備調査は通常、本調査の1カ月〜2カ月前を目安に実施し、監査対象の部門に対して必要なデータや書類の準備を依頼します。監査は抜き打ちで実施することも可能ですが、事前に準備期間を設けることで、調査の有効性や効率性を高めることができます。特に、業務プロセスの適正性を確認する場合は、適切な準備期間を確保する方が望ましいでしょう。

一方、不正が疑われるケースでは、抜き打ち調査の方が効果的な場合もあります。監査の目的や状況を踏まえ、事前通知型と抜き打ち型を適切に使い分けることが求められます。

また、予備調査の段階では、本調査でチェックすべき項目を絞り込んでおくことが重要です。調査範囲が広すぎると、本来の目的と関係のない部分に時間を割いてしまい、肝心の部分を見落としかねません。限られた時間とリソースを有効活用するためにも、どの点に焦点を当てるのかを慎重に見極めておくようにしましょう。

そして、監査を成功させるうえでもう1つ重要なのが、被監査部門との円滑なコミュニケーションです。一方的に監査を進めるのではなく、監査の目的や期待される成果をしっかりと伝え、相互理解を深めることが求められます。

本調査の実施

予備調査が完了したら、いよいよ本調査に進みます。実施にあたっては、監査チェックリストに沿って進めることが基本です。監査の目的を見失わないよう、事前に定めた基準に従い、各項目を丁寧に確認していきましょう。監査の所要時間は会社の規模や監査範囲によりますが、半日から1日程度を要するケースが多いでしょう。

監査の進行にあたっては、被監査部門の従業員へのヒアリングも重要なプロセスです。実際に業務を担当している人の声を聞くことで、業務の属人化や作業の非効率など、マニュアルや規程だけでは見えない課題が浮き彫りになることもあります。

近年では、リモート監査を取り入れる企業も増えています。遠隔監査は移動コスト削減や監査頻度向上のメリットがある一方、資料電子化の負担、現場の状況把握の難しさがデメリットです。どの方法が最適かは、監査の目的や企業の状況を踏まえ、柔軟に判断することが求められるでしょう。

監査内容の報告

調査を終えたら、その調査結果を整理し、内部監査報告書として文書にまとめていきます。この報告書は、取締役会や監査役へ提出されるとともに、監査対象となった部門にも共有されることになります。

報告書を作成する際に重要なのは、単に問題点を列挙するだけではなく、監査人としての見解や改善策を提案することです。ただの指摘に終始すると、受け取る側が「何を改善すればよいのか」が分からず、具体的なアクションにつなげられません。

例えば「社内の規程には定められているが実際にはできていない」など事実にもとづいた根拠を示しつつ、対策を提案することが、実効性のある監査報告につながります。また、報告の前に、監査人の意図が正しく伝わるかを十分に確認しましょう。表現が抽象的だと、読み手によって解釈が異なり、意図しない改善策が取られる可能性があるためです。

改善提案・フォローアップ

監査の結果、問題点が明らかになった場合は、具体的な改善策を提示し、実施期限を設定したうえで対応を依頼します。内部監査部門が適宜サポートしながらフォローアップを行い、円滑に対応が進むよう働きかけることが大切です。

もし、提案した改善策で十分な効果が見られない場合は、経営層や関連部門と協議し、より実効性の高い方法を模索する必要があるでしょう。リスクをゼロにすることは難しいため、影響を最小限に抑える方策を見出すことが現実的な対応策となるかもしれません。

改善策の進捗を定期的にチェックし、適切な対応が行われていることを確認できたら、フォローアップ報告書を作成します。これにより、監査の指摘事項が適切に解決されたかどうかを正式に記録し、内部監査の一連のプロセスが完了となります。

内部監査の被監査部門が準備すること

内部監査を受ける側の被監査部門も、スムーズな監査の実施に向けた準備が必要です。適切な対応をするために「必要書類の整理」「業務フローの確認」「監査対応の体制づくり」の3つを意識して準備を進めましょう。

監査では社内規程や業務マニュアル、業務記録、会計資料など、さまざまな書類が求められます。抜き打ち調査でない限りは、本調査の1カ月〜2カ月前を目安に内部監査人から必要書類の通知があるはずなので、監査当日に慌てないよう前もって準備しておきましょう。

また、業務フローを見直し、手順や役割分担が適切かを事前に確認しておくことも重要なポイントの1つです。業務の流れを整理しておけば、監査人からの質問にもスムーズに対応できます。

監査当日は監査人と被監査部門が円滑にコミュニケーションを取れる環境を整えておくことも大切です。事前に監査の目的や範囲を把握し、必要な担当者を選定しておくことで、効率的な監査対応が可能となるでしょう。

内部監査に兼務で対応する場合のポイントは、こちらの記事で詳しく解説しています。

内部監査の兼務は可能?担当者選定から部門立ち上げ・外部活用まで徹底解説

内部監査結果を将来に活かすには?

内部監査の本来の目的は、監査を通じて明らかになった問題点やリスクを改善し、企業の運営をよりよい方向へ導くことにあります。そのため、監査結果を振り返り、被監査部門がどのような対応を取ったのかを確認し、改善の進捗を継続的にチェックすることが何よりも重要です。監査を受ける側が「指摘を受けて終わり」ではなく、関係者全員が「実施してよかった」と実感できてこそ、内部監査の意義が発揮されるといえるでしょう。

また、内部監査は短期的なサイクルで回すだけではなく、3年、5年といった中長期的な視点を持つことも重要です。企業の課題は、1年以内に解決できるものばかりではありません。例えば、新たなシステムの導入や組織の再編など、大きな変革には数年にわたる取り組みが必要になるケースもあるでしょう。

こうした長期的な課題に対応するためには、自社の中長期経営計画とリンクさせながら、監査を継続的に実施していく必要があります。過去の監査結果と比較しながら、改善の進捗を追い、必要に応じて新たな課題を洗い出す。そうした仕組みを築くことで、監査が企業にとって真に価値のあるものとなるはずです。

内部監査担当者に必要なスキル

次に、内部監査担当者に必要な以下3つのスキルについて解説します。

  • 内部監査対象部門の業務理解
  • コミュニケーション能力
  • 正確かつ効率的な監査スキル

新たに監査担当者を採用する際の判断基準としてもご活用ください。

内部監査対象部門の業務理解

内部監査は企業全体の業務を対象として行われるため、監査担当者には各部門の業務内容を深く理解する力が求められます。監査対象となる分野は多岐にわたり、財務・会計、法務、営業、マーケティング、ITなど、企業のあらゆる部門に関する知識が必要になります。

例えば、財務監査では会計基準や資金管理の知識が求められ、法務関連ではコンプライアンスや契約リスクの理解が不可欠です。IT関連の監査を行う場合、システムのセキュリティ対策や個人情報保護のルールを把握しておく必要があるでしょう。特に、デジタル化が進む現代では、クラウド環境の安全管理やサイバーセキュリティといったITリスクへの知識も重要視されています。

コミュニケーション能力

内部監査は、経営層から現場の従業員まで、さまざまな立場の人と連携しながら進めるため、コミュニケーション能力は必須です。ただ一方的に話すのではなく、状況に応じた対応や、相手から必要な情報を引き出す工夫が求められます。

例えば、ヒアリングの場面では、相手が萎縮しないよう配慮しつつ、的確な質問を通じて必要な情報を引き出さなくてはなりません。また、何気ない会話の中に業務上の課題やリスクの兆しが潜んでいることもあります。そうしたサインを見逃さないためには、相手の話を注意深く聞き、発言の背景や意図を正しく理解する力も必要でしょう。

正確かつ効率的な監査スキル

内部監査では、限られた時間の中で多くの情報を収集・分析し、適切な判断を下すための正確な作業が求められます。そのため、正確さと効率を両立したうえで業務を遂行できるかどうかは、内部監査担当者にとって重要な資質です。

監査の際には、会計資料や業務プロセス、コンプライアンスの遵守状況を確認し、不備やリスクを的確に特定しなければなりません。調査や分析に時間がかかりすぎると、監査の進行が遅れ、被監査部門の業務にも影響を及ぼすことになります。的確な質問、証拠の迅速な精査、簡潔な報告書作成といった場面では、正確さと効率を両立した作業が特に重要になってくるでしょう。

まとめ

本記事では、内部監査の目的から外部監査・監査役監査との違い、具体的な進め方、被監査部門が準備すべきことまでを詳しく解説しました。

内部監査は一般的に5つのステップで実施されます。内部監査の担当者は、監査の対象となる部門の業務を理解したうえで、関係者と連携しながら正確かつ効率的に業務を進める必要があります。

内部監査を受ける被監査部門は「必要書類の整理」「業務フローの確認」「監査対応の体制づくり」を意識して準備を進めておくとよいでしょう。そのうえで、監査を通じて明らかになった問題点やリスクを改善し、企業の価値向上や組織の発展につなげていくことが重要です。

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